子どもの日本語(JSL)教材の蔵

日本語教師による「かゆい所に手が届く」を目指したJSL教材紹介ブログ。個人的見解の備忘録でもあります。

教材 葛西ことばのテーブル「さくぶんれんしゅうワーク」

今回は 葛西ことばのテーブル「さくぶんれんしゅうワーク」をご紹介します。

この記事は

  • 初期指導で文を書く練習を取り入れたい方
  • 短時間でできる作文教材を探している方
  • どのように作文指導をしていいかわからない方

におすすめです。

 

教材情報

100枚プリント 第6集 さくぶんれんしゅうワーク|世界の日本語教育に貢献するにほんごの凡人社

 

 

1、どんな教材?

発行元による教材説明はこちら↓

http://kasaikotobanotable.net/kyozai/06sakubun/top.html

 

 

教材は全5章からなりますが、大まかに

  •  第1~4章 さくぶんA~D→「文型」をつかった作文、初期指導で使える
  •  第5章 自分のことを書こう → ひな形に沿って、自分のことを書く作文

に分けられます。

わたしは主に後者を使用したので、以下は「第5章自分のことを書こう」についての所感です。

問題サンプルはこちら↓

http://kasaikotobanotable.net/kyozai/06sakubun/sample3.html

 

 

2、「さくぶんれんしゅうワーク」を使ってみて

2-1 作文はなぜ難しい?使ってみようと思った理由

作文が苦手な子どもは

  1.  書くべき内容が思い浮かばばい
  2.  書きたい内容をどう文章化するのかがわからない

ところに難しさを感じています。

教材を使わない場合、わたしは以下のように作文指導を進めています。

 

1、対話を通して、書きたいことを引き出し、子どもが言ったことを、事柄ごとに付箋に書き出しておく

2、付箋を使って

 1文を整える → 話した内容を語順や助詞を整えて文にする

 構成を整える → どういう順番で書くか、削除・追加すべき内容はないかを考える

3、清書する

 

この方法も悪くはないのですが…

  •  とにかく時間がかかる!
  •  「先生と一緒だったら書けるけど、自分ではできない…」と言われてしまう

これがネックでした。

それで、使ってみたのがこの教材でした。

2-2 ここがいい!

書く内容を考えやすい

章タイトルの通り、自分自身や日常・学校生活など身近な話題がテーマとして取り上げられています。

しかも、その数が50あるので、

「すきなテレビ番組」をやろうとして「日本のテレビは見ない」と言われてしまっても、

他のテーマを選ぶことができます。

そして、例文があるので、

 「じぶんのこと」なら「名前、年齢、学校、学年」を書けばいい

書くべき内容が非常にわかりやすいです。

 

スモールステップで作文が書けるようになっている
  1. 例文を読む
  2. 例文の虫食いになっている(   )に自分のことを語句で書く
  3. 2を見ながら全文を書く ※できる場合はより詳しい説明など+αしてもよい

この過程で書き方、構成を学ぶことができます。

そして、指導者にたくさん助けてもらって書くのとは違って、「自分でできた!」という達成感が得られるようで、作文嫌いな子どもも嫌がらずに取り組むケースが多かったです。

 

 

扱われているテーマを考えると高学年や中学生には向かない場合もあると思いますが、

おすすめ教材です。