DLA(外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA)のススメ その4 「DLA<読む>」編
DLA記事のその4、今回は「DLA<読む>」です。
この記事は
・DLAを使ってみたいと思っている
・読書指導に興味がある
方におススメです。
1、DLA<読む>とは
<目的>
1)子どもの読書力を測る。
読書力とは
- 読解力→まとまりのある文章を読んで理解する力
- 読書・音読行動→読解ストラテジー、文字・単語・文の読みの流暢さ
- 読書習慣・興味・態度→本や読書への関わり
の3面からなる力を指す。
2)指導のヒントを得る。
3)子どもが本に興味を示し、読書が好きになるきっかけになることを目指す。
<対象>
低学年→会話の流暢度があり、文字の習得が始まっている児童生徒
中学年以上→会話の流暢度があり、短いまとまりのある文章が読める児童生徒
当然ですが、文字が読めない子どもはできません。
<方法>
対象となる児童生徒が読めそうなテキストを別冊資料から選んで読み、
読書後、内容の理解度を測る。
一対一で、一緒にテキストを選び、一緒に最後まで読み、読む過程と話し合いを通して行う。
詳細は↓ 「第4章読む」の各ファイルをご確認ください。
テキストの「別冊資料」は問い合わせをすれば分けてもらえます。
外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA:文部科学省
<注意点>
- 子どもの発話を遮ったり、否定、訂正したりしない。
- 質問された時以外に答えを教えない。
- 良いところを見つけて、積極的に褒める。楽しく読めるように。
- テキストの選び方や選んだテキストによって進め方が異なる点があるので、「実践ガイド」の通りに。
2、「DLA<読む>」をやってみて
<再話が柱!だけど…話の引き出し方>
「DLA<読む>」は子どもがどのように読み、理解しているのかを推測し、強み、弱点を知ることが重要です。
そのために、内容についての一問一答ではなく、子どもによる再話(あらすじを再生する)ことが柱になっています。
再話の際は、原則として本を閉じ、見せません。
子どもが「理解したことを話す」のではなく、本を「読んでしまう」からです。
ですが、この再話はなかなか難しく、ガイドには「引き出す」とありますが、
引き出そうとすると、一問一答のやり取りに陥りがち…困りました。
そんな時は子どもの答えを繰り返しながら「それから?」と促すといいと聞き、
やってみると、うまくいくことが増えました。
「ももちゃんが遠足に行って…」
「ももちゃんが遠足に行きましたね。それから?」という具合です。
再話の始めから全然出てこない場合は
「思い出してみて、何でもいいよ。」と言って、出てきた言葉から始めて以下同様です。
<つまずきがどこにあるのか?>
再話を聞いていると、
理解できなかった部分をその子どもなりに推測して補ったり、
そこで読む気が削がれてしまったりしたことがわかります。
それがどんな箇所か?と観察してみると、指導のヒントが得られます。
例えば、「ことりと木のは」のお話。
鷹に襲われそうになった小鳥を「(木が)枝を揺らし」落ち葉で隠して、助ける場面があります。
他の箇所はほぼ理解できていたのに、ここだけ「仲間の小鳥が助けてくれた」とストーリーに登場しない「仲間」を創作した子がいました。
再話の後のQAで確認してみましたが、答えは変わりませんでした。
確かに、意志を持たない木ではなく、仲間の小鳥が助けてくれたという推測は現実的です。
でも、なぜ、この箇所を理解できなかったのか?
「擬人化」の理解が苦手かも?
細部を正確に読まずに想像に頼って読む傾向がある?
と考え、その後の指導は細部まで正確に読まなければできない問題にチャレンジして考える活動を多く取り入れるようにしました。
<音読は完璧!なのに…>
わたしは18歳以上の留学生を主に教えていたのですが、
音読が上手=ある程度内容を理解できている
と思っていました。
でも、子どもはそうではないと実感しました。
リンク先のFAQにもあるのですが、
すらすらと読んでいるのに、内容を理解していない「字面読み」の子どもが一定数います。
そういう子どもには音読ではなく、対話しながら読み聞かせをしたり、黙読するように指示をすることが増えました。
「スモールステップ」とよく言われますが、
「音読」と「内容理解」を分けて考え、今優先することに集中できるようにする
というのも、その一つではないかと気づかされました。
DLA<読む>の
「一緒に読んで、再話をし、話し合う」活動は普段の読書指導にも有効です。
子どもの「読み方」、探ってみませんか?