リーフレット「こどものことば どうする?」(特定非営利活動法人みらい)
今回は 教材ではなくリーフレット「こどものことば どうする?」(NPO法人みらい)をご紹介します。
この記事はこんなリソースを探している方におすすめです。
- 外国ルーツの子どもへの言語教育について概要を学びたい
- 子どもの保護者、家族に家庭での言語教育について伝えたい
- 学校教員、保育士、保健師など関係者に外国ルーツの子どものことばの問題を知って欲しい
情報はこちら
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/tabunka/kosodate-nihongo.html
こちらのURLから
の各言語版のダウンロードが可能です。
1、どんなリーフレット?
日本で子育てをする外国人保護者向けに作られたもので、主に家庭内での言語教育についての留意点が書かれています。
- 母語の重要性
- ダブルリミテッド
- 生活言語(生活で使うことば)、学習言語(学習で使うことば)
など、大切な情報がコンパクトに、わかりやすく、カラフルにまとめられています。
これなら、それほど関心が高くない人でも手に取って「読んでみよう」と思えるはず、
そこがおすすめポイントです。
2、使ってみて~同僚談
Twitterで知り、とてもいいリーフレットだと同僚にも情報をシェアしました。
実は私自身は使う機会がなかったのですが、
取り出し教室の同僚が実際に使っていました。
残念ながら、外国ルーツの子どもを学級から取り出して、日本語教師が日本語を教えることに対して、学校教員や保護者からあまり理解が得られないケースがあります。
特に日本生まれや幼少期来日の低学年児童で日本語でコミュニケーションが取れているが、
DLAをやってみれば、実は語彙不足、ステージも3,4で支援が必要な場合などです。
学級担任や保護者からすれば
「この子は日本語はわかっている。文字や教科はほかの子どもだって、これから一緒に学ぶ。なぜ、わざわざ学級から取り出す必要があるのか?」
となるのも無理はありません。
そんな時に、担任には「こういう内容のものです」と日本語版を添えて、
保護者にこのリーフレットを渡してもらうように頼みました。
すると、こちらの問題意識がうまく伝わり、
取り出し授業への参加を見送ったとしても、
「これから気になることがあったら、相談したい。取り出し教室への参加も考える」
と言われるケースもあったとのことでした。
外国ルーツの保護者は言語教育について、どうすべきか?を悩むことが多いことは想像がつきます。
時には、周囲から
「子どものためにあなたも日本語で話さなきゃ」
という「善意」からくる誤ったアドバイスを受けたり、
子どもがある程度大きくなると、母語で話しかけても、日本語が返ってきて悩んだりすることもあるでしょう。
このリーフレットはそんな外国ルーツの保護者に安心感を与えるものになるのではないでしょうか。
そして、このリーフレットを渡してくれた人には、子どもの教育について相談できるんだと感じるでしょう。
3、年少者にかかわる日本語教師の役割
先ほども書きましたが、外国ルーツの子どもの日本語教育はその重要性についてかなり広く知られるようになったとはいえ、
まだまだ理解が深まっていないのが現状です。
一部の大学を除いて、教員養成課程に日本語教育は含まれていないので、
どこかで外国ルーツの子どもを担当したり、問題意識を持って自ら学んだ先生しか知識がないのは責められません。
ですが、子どもの力を伸ばしていくために、関わりの深い保護者や担任の理解は必要不可欠です。
それはつまり、子どもにかかわる日本語教師は
周囲の理解を促していく
ことも大きな役割の一つだということです。
その際、このリーフレットは大きな力を発揮してくれると思います。