子どもの日本語(JSL)教材の蔵

日本語教師による「かゆい所に手が届く」を目指したJSL教材紹介ブログ。個人的見解の備忘録でもあります。

ひらがな・カタカナを教える①読む編

今回は初期指導で必要なひらがな・カタカナの「読む」指導についてです。

この記事は

  • ひらがな、カタカナ教材がありすぎて選べない
  • 教材はあるけれど、どう使えばいいかわからない
  • ことばの通じない子どもにどう教えたらいいかわからない

という方に読んでいただきたいです。

 

 

 

1、かなの学習とは

一口にひらがな、カタカナを教えると言っても、実は複数の技能が必要です。

  1. 文字の「形」と「音」が一致していて、音を聞いてわかる=黙読
  2. 文字の「形」と「音」が一致していて、形を見て発音できる=音読
  3. 「形」を識別できて(例「ね」「れ」の違いがわかる)、見て書ける=書写
  4. 文字の「形」と「音」が一致していて、音を聞いて書ける=ディクテ―ション
  5. 50音順(行、段)を覚える

さらに、

1字ずつ→単語→文

と難しくなっていきます。

  • 現時点でもうできていること
  • できるようになって欲しいこと

を踏まえて、教材や練習方法を考える必要があります。

例えば、1字のみ書かれた文字カードをかるたのように取る練習の場合、必要な力は上の1のみです。

やってみて簡単すぎると思ったら、取ったカードを後で読ませる、つまり2の練習を加える、というように、少しずつ難易度をあげることも心がけます。

 

2、読む練習の教材、方法

一般的な幼児、小学生向けのものが豊富にあります。

書店だけでなく、100円ショップやダウンロード教材もおすすめです。

 

1)文字カード

  • 一字だけ書かれたもの
  • 絵と一緒に1字書かれたもの(例うさぎの絵と「う」)→カルタで代用できます
  • 表面が絵、裏面が文字

など、様々なものがあります。

無料ダウンロード教材も豊富です。

happylilac.net

 ↑「かるた」「ひらがなを読む練習」のところにあります。

特に「ひらがな(50音) カード・プリント 無料ダウンロード・印刷」は使い方も載っていて、参考になります。

print-kids.net

↑「幼児向け」→「国語」に使えそうなものがたくさんあります。

 

<使い方>

単純に「見せて読む」以外にやってみたことのある活動をご紹介します。

 

1)「かるた」として使う(上記1の練習)

指導者が「あ」と言い、子どもが「あ」のカードを取る。

子どもが複数いる方が楽しいが、1人でもタイムを計ったりするこ

とで楽しくできる。

子どもに言わせて、指導者と競争して取るのもいい。(2の練習をプラス)

 

2)神経衰弱(上記1の練習)

カードを2組用意して、神経衰弱をする。

取ったカードの文字を必ず発音するようにする。(2の練習をプラス)

カタカナも導入済なら、1組はカタカナのカードにしてもいい。

 

3)七並べ(50音図並べ)(5の練習)

ひらがながだいたい読めるようになったら、50音順を覚えるためにする。

トランプの七並べの要領で50音順に並べていく。

 

1)2)については、カードをすべて使う必要はなく、導入済の文字だけ、苦手な文字だけ、などにすれば短時間でもできます。

子どもがやり方を理解できていない場合

・言葉で説明するのではなく、指導者がまずやって見せる

・「あ」「どこ?」と最低限のことば+探すジェスチャー

で伝わります。

 

2)ことばカード

これも市販教材、ダウンロード教材ともに豊富です。

市販のものでは公文のカード「生活図鑑カード」シリーズをよく使います。

家庭では母語を使っている子ども(これはとてもいいこと!)は学校外で使うことばをあまり知らないケースが多いので、それらを覚える意味でもおすすめです。

 

くもん出版 カード 商品ラインアップ

https://www.kumonshuppan.com/card/lineup-card/?c1=43&ze=2

 

3)プリント類

・「ちびむすドリル」(上記リンク)の「点つなぎ」(5の練習)

絵ができ上っていくので、絵が好きな子どもにはおすすめです。

 発展例:絵に色を塗って、空きスペースに赤の色鉛筆で「あか」と書く、など書く練習にもつなげられます。

 

・「ちびむすドリル」(上記リンク)の「すごろく」(1,2の練習)

種類が豊富にありますが、ひらがな・カタカナ学習段階で使いやすいのはシンプルな

「食べ物すごろく」「生き物すごろく」「言葉の発音練習すごろく」です。

マスにことばとイラストが書かれていて、読み上げる練習ができます。

また、すごろくは同時に数字の練習にもなります。

 発展例:サイコロを2つ使って、2つの数の足し算、引き算などをしながらするのも面白いです。

 

長くなってしまったので、今回はここまで。

「書く編」は次回にしたいと思います。